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 引越しを間近にひかえた我が家では、このところ夕方になると

いらなくなったものを庭にひとまとめにして、たき火を始めます。

 たき火を始めてしばらく経つと、他所に遊びに行ってきて自宅に

帰るはずだった小学生たちが、その帰路の途中で、どこからともなく

たき火にあたりにやってきます。

 そして薄暗い夕闇の中、しばらくたき火に手をかざしながら、

それぞれが一日あったことを静かに思い起こすのです。(多分…)

 そんなある日のこと、たまたまたき火仲間に入れてもらった私は

どんな成り行きであったのか、ふと皆に質問をしました。

チョコって言えば…君たち〜バレンタインデーチョコ

もらったことはあるのかい?」


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 その日のたき火仲間は、うちの次男と、四年生の三男の友人のK君と、

近所に住んでいる五年生のR君の三人でした。

 まず三男の友人K君は、背も高く運動神経も良くモテモテでも

不思議ではないのですが、残念なことに暴れすぎるきらいがあり、

女の子たちからは少々(いやカナリ)引かれ気味なところがあります。

 近所のR君は、メガネをかけているものの、お目々パッチリのスレンダー

ボディで外見的には全く問題がないものの、目下の興味はゲームのみで

女の子には全く興味がなさそうです。

 うちの六年生の次男は、外見は色白でポッチャリふわふわ、性格は

ごつごつのミスマッチ日本男児(ホントかいな?)で、女の子に関しては

一人の子を長く思い続ける根気(?)も持ち合わせていますが、実際の

ところはよく分かっていません。

 とにかく、こんな質問をしたときに“暴れすぎる男”K君は

「う〜ん。保育園の時には〜もらったことある!」と即座に答えてくれました。

 そして、しばらくの沈黙の後、たき火の火を見つめながら今度はR君が

でも〜、ほらチョコレートをもらってしまうと、今度はお返しが…

と切り出すと、他のメンバーも

…そうそう、お返しがね。また大変だし、ねっ!」と、急に元気を取り戻し

うんうん、そうそう!」とあいづちをうち始めました。

 しばらく活気がもどったものの、知らない間にまた、たき火のパチパチ

と燃えさかる音だけになった頃、“暴れすぎる男”K君が、穏やかに

けれども、自分にきちんと言い聞かせるように言いました。

やっぱり、バレンタインデーのチョコは自分で買ったほうが。

そうそう。それがいい…」と、他のメンバーたちも答えましたが

その声は、どこかはかなく一番星の空に舞い上がってしまっていった

ようでした。



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